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ダウン症児・者の年齢に応じた健康管理


田崎 卓見
 ダウン症は、その合併症の多さ、深刻さのために従来短命と言われてきました。
しかしながら、医学の進歩に伴う合併症の管理や感染症治療の進歩により、生存年齢の飛躍的な延長が見られるようになりました。生存年齢が伸びるということは、それだけ、色々なリスク(生活習慣病をはじめとした疾患、事故)にさらされる機会が増えることに他なりません。そのため、今まで以上に健康管理に目を向けなければいけません。(ダウン症特有の合併症に加えて、加齢に伴って増えていく疾患にも、注意する必要があるからです)

 なぜならば、私たちすべての人間は、長く生きることだけでなく、長くかつ有意義に生きたいと願うからです。そのためには、健康が(勿論、心も体も)必須条件になります。

 注意しなければいけない、合併症や、年齢別の留意点を記します。

 
(合併症)
先天性心疾患(VSD、ASD、ファロ−、など)
   消化管異常(十二指腸閉鎖、鎖肛、巨大結腸症)
   環軸椎亜脱臼、股関節異常
   難聴、白血病
※編集者注:VSD(心室中隔欠損)
      ASD (心房中隔欠損)

(乳幼児期の症候) (学童期の症候) (成人期の症候)
発達の遅れ(運動、精神)
感染のし易さ
眼科疾患(斜視、逆まつげ)
耳鼻科疾患(中耳炎)
てんかん 肥満
屈折異常(近視、遠視)
甲状腺機能低下
脱毛、乾燥皮膚
白内障 心機能の低下、糖尿病
うつ、退行現象、老化
睡眠時無呼吸
てんかん
甲状腺機能低下、痛風

検査時期については、
 小学校入学までは、毎月─6ヶ月毎
 学童期以降は、毎年が理想的ですが、少なくとも、中学校入学、高校
(高等養護)入学、就職時、といった人生の節目に受診すると、安心できます。

 病院を受診すること(検査すること)は、異常を見つけることが目的ではなく、安心を確認して、有意義な生活を送るためのものです。


最後に私事ですが、この3月で楡の会を退職いたしました。決め細かな医療・福祉を目指して、7月中旬、厚別区内に、発達専門の小さなクリニックを開業予定です。学童期の方にも利用しやすいように、土曜日や7時ころまでの診療を考えております。

これからも、末永い、お付き合いをお願いいたします。

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