スキー 楽しんでます M 明子 (宏樹 H63.4.13) 宏樹とスキーとの出会いは、今思えば、私の一言がきっかけでした。 それまでは家族でスキーに行っても、私と主人のどちらかが上の子とスキー、体の あいた方が宏樹とそり遊び。家族でスキーを教えようと思ったこともあり、行って みましたが甘えてばかりで、全然ダメだっだのを覚えています。 宏樹が1年生の秋、上の子のスキースクールの申し込みの時、『下にダウン症の 弟がいるのですが・・・』と話してみたところ、思いがけず『うちに預けてみませ んか!』と言っていただき、私がついての5日間のスキースクール通いが始まりました。 それから中学3年生までの9年間は、毎年5日間のスキースクールと学校での何 回かのスキー授業、後は家族で何回かスキーを楽しんできました。だんだん宏樹が うまくなり、私達はロッジでお茶を飲みながら待っている事になってしまいました。 そんな中学3年の時、スペシャルオリンピックス(以下SO)の活動に参加でき る事になりました。たくさんのお友達やコーチの皆さんとのいろいろな活動は宏樹 にとってとても楽しいものでした。 そして中学3年の冬、SOのスキープログラムの中で初めてポール練習をしまし た。2月、SOの長野大会アルペンスキーに参加し大回転上級ディビジョニング4 で金メダルをもらうことが出来ました。そして6月、翌年長野で開催されるSOの 世界大会に参加できる事になりました。 高校1年生の2月22日から3月6日の約2週間、日本選手団の一員として他の アスリートやコーチの皆さんと長野の地でSOの世界大会に参加し、本当に素敵な 経験をする機会をいただきました。世界中から集まったアスリート達のかっこいい 滑りをゴールの前で見詰めていた宏樹がいました。 世界大会から帰ってきて初めて、『僕、スキーがますます好きになった。もっと 速くすべりたい!もっといろいろな大会に出てみたい!』と言いました。その一言 が今年のきっかけとなりました。スキーの季節が近づいた秋、宏樹に確かめたとこ ろその気持ちが変っていなかったので、出られる大会を主人と探しました。スキー シーズンが始まると、いつもの年よりはたくさんスキーを滑りました。スキーに行 くと午前、午後とびっちり練習でしたが、スキーを滑るのが楽しい宏樹でした。疲 れて帰ってくるのですが、スキーが面白い宏樹でした。 そして迎えた今年1月21,22日の日本知的障害者アルペンスキー選手権大会 です。長野の白馬五竜スキー場いいもりゲレンデが会場でした。なにしろSOの大 会以外では初めての大会でしたので、宏樹も緊張していたようです。前日ぐらいか ら表情が硬くなり、あまり笑わなくなりました。大会1日目の朝は食事もあまり食 べられませんでした。でも、天候には恵まれ2日間ともとても気持ち良く滑ること が出来たようです。1日目の大回転で銀メダル、2日目の回転で銅メダルをいただ くことができ、宏樹は大喜びでした。その結果、ジャパンパラリンピックの回転競 技に推薦をいただくことができ、2月2日から同じ白馬の八方尾根スキー場に行っ てきました。5日の回転競技では、1本目旗門不通過で2本目を滑る事ができず帰 ってきました。『悔しかったです。今度は、もっとしっかりポールを覚えます。』 と自分のホームページに書き込んでいました。でも、出場できるとは思っていなか った大会に出ることができ、親子共々とてもいい経験をすることが出来ました。宏 樹もたくさん知り合いが出来たり、知的ばかりでなく身体、視覚、聴覚障がいの方 々の滑りも見ることができ、良かったと思います。 今、本当にスキーが大好きでたまらない宏樹! 来年は185cmのスキーで大回 転を滑りたい宏樹! もっと速くポールをくぐりたい宏樹! 親はその気持ちを大切に、これからも見守っていかれればと思っています。
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